チッチゼミ
チッチゼミ EOS20D EF180mmMacroUSM ストロボ
カンタンやコオロギが昼間っから鳴き始め、木々の紅葉も少しづつ始まろうかという今頃に、いまだ鳴き続けているセミがいる。
その名をチッチゼミ。体長30mm程度(翅含む)の本州最小のセミである。北海道南部から九州の低山地~山地に広く生息し、個体数は決して少なくないが、知名度はあまり高くないだろう。前述のように体が小さい上に高い木の梢で鳴くことが多く、さらに"ヂッヂッヂッ…"という鳴き声はセミというより直翅類のそれに近い。
チッチゼミ EOS20D EF180mmMacroUSM ストロボ
今日もよく晴れて、昨日よりも随分と暖かくなった。ヒメアカネ目当てで訪れた湿地の周りでは数こそ少なくなったものの相変わらずチッチゼミの鳴き声が聞こえている。いつもどおり高い木の上で鳴いているようなので構わずヒメアカネの撮影を始めた。
しばらくして、妙に近いところからチッチゼミの鳴き声が聞こえているのに気づく。
「そういえばチッチゼミは寒くなると下に降りてくるって話があったなぁ…」
そんなことを思い出しながら声を辿ってみると、噂どおりに湿地の中に生えた3m程のヤナギの中程で鳴いているチッチゼミの姿を見つけることができたのだった。
チッチゼミ EOS20D Sigma15mmfisheye ストロボ
そもそもチッチゼミというのは「声はすれども姿は見えず」というイメージが強い。私自身、まともにその姿を拝めたのはたった一度だけ。たとえ鳴き声を辿っていっても藪の中だったりして探すに探せない状況が多く、業を煮やして藪を揺するとその中から飛んでいく小さな後姿だけが妙に印象に残っていたのである。
それにしてもこのチッチゼミだけが寒さに強いのはどういうことだろう。他の体格がよいセミたちはとっくに姿を消しているというのに、この小柄なチッチゼミが7月から10月、11月になるまで鳴き続けているのは不思議な感じがする。まさか鳴き声が直翅類に似ているから合わせてやろうなんて小粋な理由ではないはずだ。それに鳴いている期間が長いのは、ダラダラと羽化を続けるためか、はたまた一匹の寿命がやたらと長いためなのか…。この小さなセミには未知の部分がことさらに多い。
2006.10.09 | Comments(4) | Trackback(0) | セミ・ヨコバイ類
