常陸之國のカシワスカシバ

栗の木
ここのところなんだかんだと忙しく、すっかり更新が滞った。
鬱憤を晴らすべく、この週末は他の予定をブッチしてプチ遠征。
目的はカシワスカシバScasiba rhynchioides。
本州のスカシバシーズンの最後を飾る、美麗種である。
栗の葉
カシワスカシバはその名と異なり、カシワは食わないと言われている。
現在まで、日本で確認されている寄主植物は栽培クリのみ。
ならばどこでもいそうなものだが、実際には分布はかなり局所的なようだ。
何が違うのだろうと以前から疑問に思っていたのだが、実際に生息地のクリを見てみると普段目にしているものとは毛色が異なっているように見えた。
なんというか、葉がどす黒く、質感も違う。
品種が異なるのだろうか、このあたり、キーになりそうな予感だ。
蛹殻
スカシバ探しのワークフローというのは、とにかくまずは寄主を探す。
どれでも良いわけではなく、スカシバが好きそうなやや衰弱したものがポイント。
そういうものに集中的に加害するからだ。
だから、他の昆虫に適した良い森なんかでは探すのが極めて難しい。
続いて、成虫の発生期なら蛹殻を探す。
時期ならば大体残っているのでこれが大きな目安になる。
成虫を探すにしても、そう簡単にはお目にかかれないから、この辺までがマストと言っていいだろう。
今回の場所は密度がそう濃くはないらしく、一本の木には大抵数個の蛹殻が見られたのみ。
一番多い木でも10未満しか出ていなかった。
蛹殻まで見つかったらあとは周りをひたすら探すだけである。

とりあえず一番数の多い木の周辺をウロウロと探していると、小さいスズメバチのようなものが飛ぶのを確認。
カシワスカシバ♀
追いかけると枝にとまり産卵を始めた。
間違いない、カシワスカシバだ。
あとで時刻を確認すると大体14:00で、翌日の観察も含めてみると特に活発に産卵行動が見られたのは午後2時から3時だった。
ただし、それを過ぎるとぱったりと姿を見せなくなる。

個人的な感触ではスカシバガ亜科の各種は午後1時~3時ぐらいに産卵を見ることが多い。
これまでに見た種は少ないがキタスカシバ、コシアカスカシバ、ヒメアトスカシバ、コスカシバ、カシコスカシバではこの時間帯に産卵が集中しているように感じている。
また、ヒメスカシバガ亜科に関してはこの限りではないように思う(セスジなんかは午前中にも夕方にも産卵してる)。
まだ詰める余地がありすぎるが、それもこれから見ていきたい。
カシワスカシバ♀
産卵が一段落した♀が静止したのでスナップ。
数枚撮影するとこの個体は飛び立ってしまった。
結局♀をそれなりに撮影できたのはこの一回のみだったが、とりあえず安堵する。

その後、しばらく周囲を回ってみるが手がかりなし。
夕刻に近くなってきたので産卵が見られた場所に戻り、周囲をチェック…。
カシワスカシバ♂
お?
おおお?
カシワスカシバ♂
カシワスカシバの♂だった。
コシアカスカシバなどでは雌雄がかなり似ているけれど、カシワスカシバは全くの別物。

この後コーリングする♀を探して日没まで粘るが、発見はできなかった。
夕景
栗の木さんありがとう…

アメリカネナシカズラ
翌日は朝7時ぐらいから行動開始~。
セイタカアワダチソウ群落の中のアメリカネナシカズラ。
変なの。
クロアナバチ
クロアナバチは寝ぼけていたのかぼんやり。
オカモノアラガイ
オカモノアラガイがやたらと目につく。
普段見かけないだけに、余計に気になるのだろう。
ササキリ
ササキリも普段は見られない虫(諏訪には生息してないから…)。
ナミヒカゲ
栗の葉から吸汁するナミヒカゲ。
アブラムシの甘露でもついていたか?
マメハンミョウ
秋空を見上げるマメハンミョウ。
腹には沢山の卵が詰まっているのだろう。
カシワスカシバ♀
この日のカシワスカシバは不調。
この産卵シーンだけで精いっぱいだった。
ま、こんな時もあるさね。
ゴイシシジミ
ササの葉陰にチラチラとゴイシシジミが舞っていた。
信州だと標高1000mを超えないとなかなか出会わないチョウだが、そんなのが標高0m地帯で普通に見られるのだ…なんか感覚が狂う。
野道
収穫がないと疲れるが、こういう何気ない景色に癒される(現実逃避?)
チカラシバ
チカラシバもアップにすれば美しい。
光芒
やがてクリ林に夕日が差し込み…。
夕焼け
取り立てて収穫のないまま日没…。

常陸之國よありがとう…。

2013年9月28-29日 茨城県 EOS7D
EF7-15mmf4LfisheyeUSM, 17-40mmf4LUSM, EF100mmf2.8LMacroISUSM, EF300mmf4LISUSM ストロボ(内蔵ストロボ,SP270EXII,MT-24EX)

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2013.09.30 | Comments(0) | Trackback(0) | プチ遠征

トリカブトは難しい

Aconitum japonicum
今日は集中力を欠く一日で成果出ず。

山ではトリカブトの紫色の花が目立ち始めていた。
帰宅して調べてみるがヤマトリカブト群Aconitum japonicumであろうところまではわかるのだが、そこから先がはっきりしない。
亜種でいろいろあるのだが、本によって書いてあることがまちまちでどーにも捉え所がない印象。
種としてはA.japonicumなんだからいいじゃないか、なんて気もするが、もやっとするなぁ、なんだか。

2013年9月14日 長野県茅野市 EOS7D EF100mmf2.8LMacroISUSM

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2013.09.14 | Comments(0) | Trackback(0) | 植物

ハネナシサシガメ

ハネナシサシガメ
成虫でも翅を持たない北方系のサシガメ。
体型がオサムシ的。
前胸背の彫刻といい腹部の質感といい、渋い魅力に溢れている。
まれに長翅型の個体も出現するというが、まだ出会えない。

2013年8月31日 長野県諏訪郡 EOS7D EF100mmf2.8LMacroISUSM ストロボ(MT-24EX)

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2013.09.13 | Comments(0) | Trackback(0) | カメムシ

大胡麻斑穀盗人

オオゴマダラコクヌスト
朽木上のオオゴマダラコクヌストLeperina tibialis。
漢字では大・胡麻斑・穀盗人。

渋い虫である。

いやむしろちょっと渋すぎる。

同行のオゾノさんもその渋さに若干ひいていた(笑)。

2013年8月31日 長野県諏訪郡 EOS7D EF100mmf2.8LMacroISUSM ストロボ(MT-24EX)

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2013.09.09 | Comments(0) | Trackback(0) | 甲虫

キタササキリモドキ

キタササキリモドキ
葉上のキタササキリモドキTettigoniopsis forcipicercus。
ササキリモドキ類は樹上生活を送る小型のキリギリスの一群。
直翅類には疎い自分だが、なぜかササキリモドキ類にはミョーに魅かれるところがある。
パッと見はキリギリス類そのものだが、どこか違うぞと思わせるディティールに何か思わせるところがあるのかもしれない。
キタササキリモドキ
無翅のササキリモドキ類は西日本、特に四国で強烈に種分化を遂げているらしい。
残念ながら東日本の大部分の場所で見られるのは本種のみとのこと。
キタササキリモドキの尾肢はご覧のように単純な形状だが、バッタ大図鑑やバッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑では多くの種の尾端が図示されており、それを見ていると「何だこりゃ!?」と言いたくなるような複雑怪奇なものすらある。
キタササキリモドキ♀
同じところにいたのでおそらく同種の♀だと思う。
これまで♀は何度となく見てきたが、♂を見るまで種の同定ができなかった。
翅はないが正の走光性があるのか、秋の灯火周りで姿を見ることが多い。
これからの時期、山間部の灯火を夜間に見回れば割と簡単に見られるはずだ。
キタササキリモドキ
その面構えが捕食者の眷属であることを物語る。

2013年9月7日 長野県茅野市 EOS7D EF100mmf2.8LMacroISUSM,MP-E65mmf2.8Macrophoto ストロボ(MT-24EX)

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2013.09.08 | Comments(0) | Trackback(0) | バッタ他直翅系

ガガンボモドキの一種

ガガンボモドキの一種
ヨコバイを捕えたガガンボモドキの一種Bittacidae sp.
ガガンボモドキはときどき見かけるが、なにぶん同定する手がかりがないのでsp.扱い。
見た目とは裏腹に、かなり大きなものまでとらえることができるようである。
ガガンボモドキの一種
顔を見るとシリアゲムシ顔。
シリアゲムシ目に分類されているのだから当然と言えば当然かもしれないが。

ガガンボモドキといえば配偶行動に際する婚姻贈呈が有名。
まだ見たことがないシーンである。
そのうち見かけることもあるのだろうか。

2013年9月7日 長野県茅野市 EOS7D EF100mmf2.8LMacroISUSM ストロボ(MT-24EX)

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2013.09.07 | Comments(0) | Trackback(0) | シリアゲムシ

アカジマトラカミキリ

倒木
山の中で折れていたケヤキの大木。
この時期、この場所ならアレがいるはず…と探してみると。
アカジマトラカミキリ
いたいた、アカジマトラカミキリAnaglyptus bellus。
よくイタドリの花に来るという話を聞くが、私はそういう状況で見たことは一度しかない(探さないというのもあるが…)。
やっぱりアカジマトラはケヤキの幹を這っているのを見る方がしっくりくる。
アカジマトラカミキリ
何度見ても美しい。

2013年9月1日 長野県諏訪郡 EOS7D ,EF17-40mmf4LUSM,EF100mmf2.8LMacroISUSM ストロボ(MT-24EX)

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2013.09.05 | Comments(2) | Trackback(0) | 甲虫

ミンミンゼミ

ミンミンゼミ
気が付けばミンミンゼミの声も少なくなってきた。
今年の夏は過ぎるのが早かった…orz

2013年8月31日 長野県諏訪郡 EOS7D EF100mmf2.8LMacroISUSM ストロボ(SP270EXII)

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2013.09.04 | Comments(0) | Trackback(0) | セミ・ヨコバイ類

コシアカスカシバ

コシアカスカシバ♀
昨年見つけたコシアカスカシバSesia scribaiの生息地を訪れた。
昨年は既にシーズンが終わった後だったからダメだったが、一年待った甲斐がありようやくその姿を確認できた。
記念すべき、信州のコシアカスカシバ。
コシアカスカシバ♂
最初に訪れたのは8/25だったが、♂はもう既にスレている個体ばかり。
関東当たりでは8月の下旬から発生するというが、こちらでは少し早めに羽化が始まるのだろう。
コシアカスカシバ♀
9/1、再び同じ場所を訪れると、羽化したばかりであろう美しい♀が幹にとまっていた。
コシアカスカシバは同属のキタスカシバやカシワスカシバと比べると雌雄の違いが少ないが、強いて挙げるなら♂の方が翅の縁取りが細い他、確実に区別するなら触覚が鋸歯状になっているかどうかで見るのがいいと思う。
コシアカスカシバ産卵
こちらは一足早く産卵していた個体。
コシアカスカシバコーリング
コーリングする♀。
時刻は午後3時ぐらいだったが、これは通り雨直前の天気に騙されたイレギュラー…?
実際にはもう少し遅い時間帯にコーリングをすると思われる。
この後雨が降ってきて一時避難。
そういえば両日とも風が強く吹いていて、思ったように撮影できなかったのが悔やまれる。
コシアカスカシバ交尾
しばらくして再び同じ♀を見に行くと既に交尾が成立していた。
コシアカスカシバ交尾
♂が強烈にスレている個体なのが残念。

とにかく信州のコシアカをようやく落とせて一安心。
県内の状況をあたってみると、今回の長野市のほか佐久と小諸には生息しているようであり、いずれも千曲川に沿った地域である。
これも一つの目安とはなろうが、南信の飯田から南信濃辺りにかけては分布していてもおかしくないし、どんな分布をしているのだろうかと気になる。

2013年8月25日、9月1日 長野県長野市 EOS7D EF8-15mmfisheyeLUSM,EF100mmf2.8LMacroISUSM ストロボ(SP270EXII,MT-24EX)

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2013.09.03 | Comments(2) | Trackback(1) |

苔むす

苔むす
森の中のカツラの大木。
幹の表面はびっしりと苔に覆われて、元の樹皮はほとんど見えない。
いったいどれだけの年月をここで立ち続けてきたのか、想像もつかぬ。

2013年8月25日 長野県諏訪郡 EOS7D EF17-40mmf4LUSM

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2013.09.01 | Comments(2) | Trackback(0) | 風景

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プロフィール

Author:spatica
生息地:信州諏訪地方
性別:♂
ムシは好きだが見つけられない、典型的なふしあなさん。
E-mail
spatica@mail.goo.ne.jp

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