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私的UMA ハリサシガメ

夜の神社
生き物好きなら誰しも私的UMAといえそうな生き物…いるよいるよと話を聞くのに出会えないものもいれば、本当にどこにいるのだかよく分からない輩まで…といったものがいるのではないだろうか。
この夏にそんなものの一つと出会うことができた。
場所はとある神社の境内、その石段に夜になるとそいつは姿を現した。
ハリサシガメ幼虫
最初に目に入ったのはコレ。
正直なにやらアリの死骸が固まっているだけとも思えるが…
ハリサシガメ幼虫
正体はハリサシガメAcanthaspis cincticrusの幼虫。
体には土塊をまぶし、背中には自ら捕食したと思われるアリの死骸などを載せている。
ハリサシガメ幼虫
自ら捕食した獲物の亡骸を載せる以上、当然ながらその姿は一匹一匹違ってくる。
ハリサシガメ成虫
成虫の姿は漆黒の体に黄土色の線が入り、スマートでかっこいい。
日本原色カメムシ図鑑やアリの巣の生きもの図鑑などを見てみたが、珍しいもしくは稀で荒原や墓地の地表に棲み、アリ類を捕食する…ぐらいしか情報が出てこない。
これは情報が少ないというよりも、そもそも多くない種であるがために観察をしている人間の絶対数が少ないというのが実情だろう。
ハリサシガメ交尾
交尾するハリサシガメ。
上に挙げた画像のものと比べれば翅が短い短翅型の個体であるということが分かる。
私がこれまで本種を見つけられなかったのは、一つには探す場所を荒地に限定してしまっていたこと。
今回のような石垣に生息していることもあるのだということを、後日ネットで検索して初めて知った。
もう一点は、ほぼ完全な夜行性だと思われるということ。
昼間に同じところに行ってみたが殆どの個体は石垣の隙間に身をひそめ、わずかに表に出ている幼虫も石の隅に張り付くようにして止まっていた。
これでは昼間には見つからないわけだ。
もちろん石垣であればどこにでもいるというわけではないらしく、近辺の似た環境を片っ端から調べてみたがハリサシガメを確認できたのはこの一か所、わずか十数mの範囲のみであった。
やはり気難しい虫であるということには間違いがないようだ。
ハリサシガメ捕食
ハリサシガメ捕食ハリサシガメ

少し飼育をしてみたが、やはりアリ類には素早く反応し捕食した。
サシガメ類というのは何でも食うジェネラリストもいる一方で、これしか食わないという極端な偏食家が少なくない。
まだハリサシガメに他の昆虫を食わせてみたことはないが、何となくあまり好かないのではないか、そんな気がしてならない。

今回最初に見つけたのは幼虫であった。
我ながら良く見つけたものだと思うが、それには以前に似た経験をしたことがあったのが大きい。
というのも、以前のベトナムで同じようなサシガメを見つけていたからだ。
これも恐らく日本のハリサシガメと同じAcanthaspis属らしい。
幼虫の隠ぺいレベルは同じようなものだったが、日本のものの方がはるかに見つけにくかった。
ベトナムのハリサシガメ幼虫は、こちらの動きに反応して素早く木の幹を動き回ってくれたのですぐわかったが、日本のハリサシガメはほとんど動かず隠ぺいの効果が完璧だった。
何かにつけ、熱帯の虫は凄いなぁと思うことが多いのだが…案外日本の虫も頑張っているじゃないか。
どうでもいいことかもしれないが、ちょっと嬉しかった。

2018年9月 山梨県

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2018.10.04 | Comments(2) | Trackback(0) | カメムシ

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