石垣島遠征記1:嗚呼 麗しのタテヅノを求めて
ヤエヤママルバネクワガタ EOS20D Sigma15mmfisheye ストロボ
今回の石垣島遠征、それを決意させてくれたのがこのヤエヤママルバネクワガタ(以下ヤエマル)だった。
大柄な体に独特のフォルム。この魅力溢れるクワガタに会いたい…という思いを抱えつつもそのチャンスはなかなかなく、いつの間にやら随分と時間が経ってしまった。が、今年は偶然が重なり、なんとか日程が取れそうだ。9月の頭にクワガタ屋の後輩Aをそそのかしてみると、ものの見事に乗ってきた。こうなれば話はトントン拍子に進む。途中でヨシアキちゃんの参加も決定し、後は決行日を待つのみとなった。
生息環境 EOS20D Sigma17-70mmZoom PL
ヤエマルが分布しているのは石垣島、西表島、そして与那国島。今回は初めてということで、入りやすくかつアクセスが容易な石垣島を選んだ。生息地は山地に残された原生林。ヤエマルの幼虫は巨木の洞や根元に溜まった堆積物の中で育つので、生息には巨木が不可欠だ。
今年は台風の影響で林内はかなり荒れている様子で、そこかしこに葉のついた木が倒れていた。一度落ち着いてしまった極相林もこうした形で更新され続ける。来年あたり、開けたギャップには沢山の生物が集まるのだろう。一見すると酷い被害に思えるが、こうした災害もまた自然そのものであり、なくてはならないものなのだ。
石垣島には午後4時半に到着した。そこからレンタカーを借り、宿にチェックインを済ませ、先に現地入りしているらしい後輩Aと合流することに。なにしろチャンスは二晩しかないから急がねばならない。ちょっとした行き違いがあったので合流に少し手間取ったが、なんとか無事合流を果たすことができた。
「お久しぶりです」会った途端に差し出される手。不思議に思いながら手を握るとそこには固い感触が。なんと後輩Aの手には立派なヤエマルの♂がくっついていた。
ってゆーかなんで気づかない!俺!!
聞いてみると、彼は昨晩一人で山を歩き回って採集してきたのだという。
いきなりこんなモノを見せられたらいてもたってもいられない。そそくさと買い物を済ませ、さっそく山へ。長袖長ズボンに身を包み、首から蛍光灯を下げ、足元は長靴。やる気満々で森の中へ突入した。

ヤエヤママルバネクワガタ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
空は曇り。鬱蒼とした林内は聞いていた以上に暗かった。その上結構斜面がきつく、木だけを見ながら歩いていたらあっという間に遭難することウケアイだ。実際このとき、私はすぐに方向感覚をなくしてしまっていた。3人で木を照らしながら進むことしばし、足元の木にちらりと黒い影が見えた。
「いた!!」
声を上げたのは二人同時だった。後輩Aも別個体を見つけたらしい。逃げるなよ逃げるなよ…ガクガクしながらカメラを取り出しファインダーを覗くが、興奮しているのですぐに曇ってしまう。しかもメガネも曇ってきた。だぁぁぁっ!!ピントがわからんッ!!
無理やりピントを合わせ、シャッターをきった。

ヤエヤママルバネクワガタ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
初めてみる生きたヤエマルは想像以上にでかかった。長いのではなく、でかいのだ。実物を拝まなければ分からない、圧倒的な存在感。この感じはオオクワガタに通ずるものがある。こういうものに出会うと写真の限界を感じてしまう。
ヤエマルはライトで照らすと赤く(正確にいうと赤茶かな)見える。このカットはそれを意識して少し露出オーバーにしてみたが、やはり見た目通りには写らないようだ。
撮影後、同じ木を探してみるともう2匹の♂が見つかった。さらに後輩Aが4♂を採っていたのでこの木では7匹が採れたことになる。残念ながらヨシアキちゃんは1匹も見つけることができなかったみたいだ。
この夜はさらにしばらく探索をしてみたが、後輩Aが1匹を見つけただけだった。さらに途中から降ってきた雨でずぶ濡れになってしまったので早めに切り上げることにした。
翌日も同じルートを辿ることにした。
同じように森に入るが、雨になる心配はなさそうだ。
昨日採った木に向かう道すがらもだいぶ注意して探してみたが、ヤエマルは見つからない。結局同じ木のところにたどり着くまで一匹も見つけることができなかった。
御神木(そう呼ぶことにした)にたどり着くと、すでに後輩Aが一匹をゲットし、ヨシアキちゃんは見つからないといいながらウロウロしている。
どれどれ…と御神木の中を覗き込むと、奥の方にひっくり返っているヤエマルが見えた。引きずり出してみるともう瀕死の♂らしい。動かないのをいいことに、アップで撮影してみた。

ヤエヤママルバネクワガタ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
こちらがヤエマル大歯型のオオアゴ。旧称のタテヅノマルバネクワガタの由来となった、上方に伸びる二本の内歯が特徴的。私がこのクワガタの存在を知った頃は、まだアマミ、オキナワ、ヤエヤマが同一種タテヅノマルバネクワガタとされていた。そのせいだろうか、今でもどちらかといえばヤエマルと呼ぶよりはタテヅノという名の方がしっくりとくる。マルバネを探すならまずヤエヤマから…そんな風に思ったのも、このタテヅノが見たかったからに他ならない。

ヤエヤママルバネクワガタ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
御神木ばかりに頼ってはいられない。3人バラバラになり、他の木にもついているはずだとその近くの斜面をよじ登る。この木にはいるだろーと目星をつけた木には小歯型の♂がついていた。小歯型とは言ってもヤエマルはかなりの大きさだ。足場が悪いことも手伝って、引きの撮影は結構大変だった。

ヤエヤママルバネクワガタ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
小歯型♂。
大歯型と違ってタテヅノは発達しないが、これはこれで味がある?のかもしれない。
この後は場所を変えたり、後輩Aが初日に入った場所を探したりして午前4時近くまで動いてみたが、それほどの成果はでなかった。また、♀の姿を見ることもできずじまい。こうして二日間はあっという間に終わってしまった。
私一人の結果は7♂。初めてのチャレンジ、しかも二日間でこれだけの数が採れれば大成功と言えそうだ。♀が見られなかったり、生態的なところまでイマイチ踏み込めなかった感は残るが、それも経験だろう。またいつの日か、このタテヅノの姿を求め、八重山の地を踏みたいと思う。

ヤエヤママルバネクワガタ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ トリミング
こちらはお約束のモデル撮影カット。壁紙としても使えるように1024*768pxにしてみたんですが…。ちょっと窮屈?
質感はそれなりに出たけど、ヤエマルらしさが足りない気がする…。また行かなくっちゃいけませんねぇ。
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2006.11.08 | Comments(2) | Trackback(0) | 遠征記
