石垣島遠征記3:見たい撮りたい触りたい!!ミカンキンカメ編
ミカンキンカメムシ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ3灯
石垣遠征第三弾はミカンキンカメムシ。
これもまた憧れのカメムシであった。採集地はピンポイントで落とせていたので、2日目の午前中に早速行って探してみることにした。採集のポイントはなんといってもセンダンの木だ。過去に柑橘の害虫であるとの記録があったためにミカンの名が冠されているが、実際のところ日本における寄主植物はセンダンであったらしい。
採集地に着いてみると、なるほど周辺にはセンダンの大木が何本も生えていて、これが採集のポイントに違いない。5.4mの長竿でもって梢を掬ってみたが何も入らない。足元には黄色くしなびたセンダンの実が散らばり、樹上にほとんど実は残っていなかった。どうも台風でみんな実が落ちてしまったようだ。実際そのあと午前中いっぱい木を掬ってみたが手ごたえはなかった。やっぱミカンキンカメは厳しいのか?とりあえず昼食を食べることにしてその場を離れた。
ミカンキンカメムシ4齢若虫 EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
昼食から戻り、しかたないので場所を移動しようかという話になった。しかしやっぱりミカンキンカメが見たい。最後にちょっとだけ…と言って、掬い残した木の下に立つ。上を見上げるとまだちょっとだけ青い実がなっているのが見えた。あそこなら…。
ガサッ…ガサガサ……。
一縷の望みを掛けて掬ったその網の中には、小さなキンカメムシ若虫の姿があったのだった。
ミカンキンカメムシ5齢若虫 EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
「ミカン採れたー!!」
同行の二人にそう告げると、後輩Aは長竿を用意して別の木をガサガサやり始めた。私も先ほど採れた木を続いて掬ってみるが追加は入らない。しばらくして後輩Aが「これ終齢だと思うんスけど…」と一匹のカメムシを差し出した。な…なんじゃこりゃ!!
キンカメの若虫も成虫に劣らずキレイな場合があるのだが、コイツには完全に度肝を抜かれた。メタリックグリーンと濃い紫の体に蛍光っぽい光沢を宿す不思議な色彩。こんなの予想外だーー!!
ミカンキンカメムシ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
この蛍光光沢は胸部だけでなく全身に見られる。甲虫類でいうところのオパール光沢に似ているが、それともまたちょっと別物のような…。とにかく、こんな色のカメムシはいままで見たことがない。一言でいうなら絶句である。
ミカンキンカメムシ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
終齢がいるんだから成虫がいてもおかしくはない。鼻息を荒くして周りを探すと、高いところにある実が目に入った。道路の直上にあるため午前中には気づかなかったところだ。竿を伸ばして掬ってみるがギリギリの高さ。それでもなんとか網を被せて揺すってみる。網を外したときに、大きな影が入っているのが見えた。慌てて竿を手繰り寄せたとき、茶色い塊が網の側面にくっついているのが見えた。やった!!成虫だ!!
これぞまさしく感無量?感動しながらヨシアキちゃんに見せると「幼虫とちがって渋いっすね…」と微妙な感じで言われた。えーい、どうせ地味な虫ですよーだ。
図鑑の写真では気づかなかったが、よくみると腹部結合板(おなかのサイド部分)のシマシマが結構オシャレ。透明感のある地色に各点刻が緑に輝く姿は、渋好みの人にはたまらないのではないかと思う。
ミカンキンカメムシ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
採集した終齢若虫のなかには翌日に羽化を始めたものもいた。羽化直後は小楯板(キンカメの場合は背中全体)が透けていて、下の翅やスジがくっきり見える。また、黒い斑紋になる部分は赤色をしていて美しい。
ミカンキンカメムシ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ3灯
そんなわけで、現在我が家には数匹のミカンキンカメがいる。高い樹上で生活している限り、その生活を垣間見るのは非常に困難だ。きっと彼らはこんな暮らしをしているんだろうな…。この写真はそんな思いで撮影してみたイメージカットなのです。
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2006.11.11 | Comments(4) | Trackback(0) | 遠征記
