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インゲン棚の厄介者

インゲン棚
インゲン棚 EOS5D Tamron28-75mmf2.8
盆も過ぎ、夏ももう終り。昼間は暑くとも朝晩はすっかり涼しくなってきて、吹く風には確かに秋の気配が感じられるようになってきた。丁度今頃、諏訪地方では収穫の盛期を過ぎたインゲン棚が後ろが透けてしまうほど何かに食い荒らされているのが目立つ。そんなインゲン棚をちょいちょいと観察していけば程なく犯人の姿が目に入ってきた。
インゲンテントウ
インゲンテントウ EOS5D EF100mmMacroUSM ストロボ2灯
インゲン棚をこんな姿に変えてしまったのはインゲンテントウEpilachna varivestisというテントウムシ。聞きなれない名前だと感じる方もおろうかと思うが、それもそのはず、このテントウムシは比較的最近進入してきた帰化昆虫。英名はMexican Been Beetleといい、その名の通りメキシコの高原地帯が原産のマメ食いテントウムシで、日本で言うならナス科作物の害虫オオニジュウヤホシテントウやカラスウリなどにつくトホシテントウなどと同じマダラテントウ一派に属している。
インゲンテントウ
インゲンテントウ EOS5D MP-E65mmMacro ストロボ2灯
このインゲンテントウは子供向け書籍の写真からその帰化がわかったと言うちょっと変わった経緯を持つ。私が知っているのは数年前の情報だが、その頃は諏訪地方から山梨県韮崎市にかけての中央線沿線で確認されていたはずだ。メキシコ高地を原産とする彼らは高温に弱く、関東の平野部では暑すぎて定着できずにこのような変則的な帰化範囲を示したらしい。最初に確認されたのが1997年の富士見町だそうだが、折りしも私が諏訪にいたのが1998年3月までだったから、丁度その頃彼らは帰化の端緒を抜け、分布を拡大していようとしていたときだったのだろう。事実、それまで私はインゲンテントウを見たことが無かったが、その2,3年後に帰省した折には我が家の庭先にまでインゲンテントウは飛んできていた。
インゲンテントウ
インゲンテントウ幼虫 EOS5D MP-E65mmMacro ストロボ2灯
今はインゲンも元気がないが、ちょっと探してみればいくつもの卵塊や小さな幼虫の姿を目にすることができた。写真の個体は体長3mm程度だが、既にマダラテントウの幼虫らしいトゲ突起を誇らしげに背中に生やしている。
恐らくはもうインゲンテントウも完全に定着しているといっていい頃合なのかもしれない。寄主がインゲンという栽培植物であるから、在来の生態系に及ぼす影響はほとんどないだろう。しかしいままで見ることがなかった生き物が近くにいるというのは妙な感覚である。さてはて、この辺の問題はこれからも数多く出てくると思うのだが、その現象に対する自分自身のとるべき態度と言うのはいまだに見えてこないのである。

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2007.08.27 | Comments(2) | Trackback(0) | 甲虫

コメント

なつかしいですねー「エピラクナ」という言葉を聞くと、短大の研究室を思い出します。

プンクタータとかマクラータとか覚えたっけ・・・(笑

2007-09-10 月 21:49:58 | URL | くぼ #- [ 編集]

>>くぼ
そうそう、コイツを初めて知ったのも研究室だったしね。でもオオニジュウもニジュウヤホシも今はEpilachnaではなくなってしまったみたい。

2007-09-21 金 01:48:58 | URL | #- [ 編集]

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