ハルニレのカイガラムシ
カイガラムシの一種 EOS5D EF100mmMacroUSM ストロボ
ナシカメムシの幼虫を撮影した後のこと。コーヒーでも買おうかと思って立ち寄った自販機の裏にあるハルニレがなんだか気になってちょっと観察してみた。パッと見には何もなく、樹形のよく整った木にしか見えなかったが、その一角に目がとまった。樹皮にしては変なその形に目を凝らして見るとどうやらカイガラムシのようだ。そうして改めて見直してみれば、枝が切られた跡の縁にミチミチッと高密度で張りつく夥しい数のカイガラムシの姿が浮かんできたのだった。
カイガラムシの一種 EOS5D MP-E65mmMacro ストロボ2灯
そもそもカイガラムシというのにはとんと縁がなかった。なにしろ普段目にするカイガラムシといえば地味、小さい、動かない…等々他の昆虫とはあまりにもかけ離れすぎていて、ほとんど興味を持つことができなかったからだ。それに撮影していてもあまり面白いとも思えなかったのだが…。
今回見つけたものは手元に資料もなく種類は不明。結構見事な擬態なように見えるがどうだろう?円盤状でぴったりとはりつくその姿は一般的な昆虫の姿とは似ておらず、異様といえばその通りかも知れないが、ヒラタドロムシの幼虫、あるいは礒の潮干帯で見られるヒザラガイなどと共通する感じも受けた。これも生態的な収斂によるものなんだろう。だとすればこれはこれで理にかなっている形態なんだろうか。
ツノロウムシ? EOS5D MP-E65mmMacro ストロボ2灯
カイガラムシついででたぶんツノロウムシだろう、と思う種類。こっちは更に形状の簡略化が進んでいて、実際写真を撮っていても昆虫という感覚はない。
多くの昆虫が翅や脚を発達させて行動圏を広げる一方でカイガラムシ達はその全てを退化させるという生存戦略を取ってきた。生きていく上で一見不合理に見えるそのストイックな生き方も、見方を変えれば行き着く所まで行き着いた究極の進化のカタチとは言えまいか。そしてその結果として時に人間を困らせるほどの能力を手に入れたカイガラムシ達…。
ん~…シンプルなだけに何か哲学的なことすらも考えさせられてしまった。
そんな彼らはやっぱり昆虫界の異端の徒に違いないんだろうなぁ。
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2008.01.23 | Comments(2) | Trackback(0) | セミ・ヨコバイ類
