石垣の虫たち
石垣 EOS5D EF17-40mmf4LUSM
石垣といっても石垣島ではなく、ごくごく普通の石垣。
もう初冬といってもいい頃合いだが、日当りのいい石垣にはまだ虫たちの姿がある。
ヒゲボソムシヒキの一種 EOS50D EF100mmMacroUSM
この時期になるとよく見かけるヒゲボソムシヒキの仲間。
昼食のコンビニおにぎりを食べながら見ていたら、飛び出したガを一瞬にして捕らえた。
餌の少ないこの季節に出てくるのだから、いつでもスクランブルできるよう体温を高めに保つ必要があるのだろう。この日は陽だまりで日光浴をしている姿をあちこちで見た。
スコットカメムシ EOS50D EF100mmMacroUSM ストロボ
チョコチョコと歩いていたスコットカメムシ。ツマジロカメムシやナカボシカメムシと同属であるが、それぞれ微妙に違う環境で棲み分けているような気配がある。
ナカボシカメムシは比較的暖かい里山のクヌギ・コナラ林で、ツマジロカメムシは少し標高が高い所の草の上、そしてスコットカメムシはミズナラを中心とした林。
特にスコットカメムシは越冬時にたくさん見かける割には普段はなかなか見ない。
たぶん高い樹上で生活しているのではないか、と思っている。
コマダラウスバカゲロウの幼虫 EOS50D EF100mmMacroUSM
擬態が上手いコマダラウスバカゲロウの幼虫も石垣の住人だ。
幼虫のすぐ脇にはすでに空の繭がくっついている。
コマダラウスバカゲロウの幼虫 EOS50D EF100mmMacroUSM ストロボ
インセクタリウムの表紙で見たその姿に憧れ、初めて見つけた時はすごく感動した。
が、その後あちこちに沢山いることがわかりちょっとガッカリしたが、それでもまだまだ飽きずにレンズを向けられるほど魅力的な虫。
地衣類絡みは変なものがいるだけに、面白い。
コヤガの幼虫 EOS50D EF100mmMacroUSM
こちらは石垣ではないが、ミズキの幹についていたコヤガの幼虫(右上と左下に一匹ずついる)。種類はシラホシコヤガぐらいしかしらないが、この幼虫がそうであるという根拠もないのでコヤガの一種ということで。
いつも不思議に思うのが、地衣類や蘚苔類に依存する昆虫があまり多くないということだ。隠れ家などとして間接的に利用することはいくらでもあるが、直接利用するものは思ったほど多くはない。地衣類と蘚苔類はまったく別の生き物ではあるが、双方ともに起源が古いことには間違いはなく、つまりは昆虫との付き合いもそれ相応に長いはず。にも関わらず利用される機会が少ないということは、これらが生理的に昆虫と相いれないのか、あるいはそうさせているのか、何らかの要因が働いているのだろう。
昆虫の爆発的な種分化が起こったのは被子植物との関連があったとされている。
この二者の間には共進化的な(というよりイタチごっこ的な?)関係があり、その結果として昆虫は現在の多様性を持つに至ったわけだ。だとすれば、地衣類や蘚苔類においてはどちらかが歩みを止めたか、もしくは一方を排除してしまうような、強烈な阻害因子が存在していたということだろうか。
あとは遺伝子のポテンシャル(顕在化する要素は潜在的に遺伝子内に組み込まれているという考えもあるらしい)がなかったとか?
う~ん、なんだろな~…。
地味で目立たないけれど、近くの石垣にだって生物の歴史は刻まれている…らしい。
2008.11.28 | Comments(2) | Trackback(0) | 雑記
