コブハサミムシの不思議な行動
日曜はコブハサミムシを求めて山梨へ。
毎年見ているコブハサミムシだが、肝心なシーンが撮れていないのでその材料を探しに行った。
首尾よく産卵済みの♀を見つけて確保したが、昨年に比べて個体数が少なくて様子が違う。
色々な面から見て、今年は少し進行が遅れているのかな…という結論に。
そういえば、今年は寒かった。
さて、帰り道。
時間は20:00前後。
少し標高を上げた林に立ち寄りフユシャクを見ておこうとしたところ、そこでもコブハサミムシを見つけたのだが…。
最初はこの一匹だった。
穴から身を乗り出し、じっとしている。
これはこれで珍しいシーンだな~と思っていたのだが、良く見ると周りにたくさんのコブハサミムシ。
しかも各々同じように穴から顔を、そして身を乗り出している。
穴を掘るルイス型♂もいる。
この辺りで異常さに気付いた。
周りにいる十数匹、全部♂…。
周辺も少し歩いてみたが、やはり♂しか見当たらない。
最初の♂は一度穴に引っ込んだが、しばらくすると再び顔をのぞかせ、じっとしている。
どの個体も上半身を浮かせ、触角をピンと伸ばし、そのままでいるのだ。
これはちょっと偶然とは思えない。
アルマン型の♂も同じく。
ストロボに驚くと穴に逃げ込む。
しばらくするとまた出てくるのも同じ。
注:ここから先は完全な推測でしかないので、証拠もないし確認もしてない、単なる妄想として読んで下さい。
さて、この行動は一体何なのか?
個人的にはコブハサミムシの配偶行動ではないかなぁと思う。
そして、この♂達は通りかかる♀を待ち構えている、あるいはフェロモンか何かを出し、コーリングを行っているのではないだろうか?
個人的には後者で会って欲しいなぁと、希望的観測も含めて思っている。
こっちにも。
昼間の標高の低い林では、産卵ないしはペア形成という頃合いだった。
この林はそこより少し標高が高いので季節は少し遡っているだろう。
だとすれば、きっとこの♂達はペア形成前の段階のはず。
そう考える理由のまず一つ目は、♀が見あたらなかったこと。
そしてもう一つは、もしペアが形成されていれば、こんな行動はとる必要はないということだ。
こいつも。
明らかに何らかの意図をもって行っているように見える。
たくさんいるので、地面からニョキニョキとコブハサミムシが生えているようにすら思える。
もしこれがコーリングだとすれば、コブハサミムシの越冬後の動きは
1.♂が先に越冬から目覚め、穴を掘って♀を呼ぶ
↓
2.♀がやってきてペア形成
↓
3.交尾、産卵
↓
4.♂は再び♀を呼ぶために出て行く…
というシナリオになるのだろうか…?
♂が先に穴を掘っておくのは、♀の産卵を早く、かつ効率的に行うためと思えば納得できる。
そもそも、子が母親を食べるという行動も、春先の餌不足を解消するための手段と考えられているらしい。
だとすれば、コブハサミムシという虫は、運よりも確実性を重視した繁殖戦略をとる虫と言えそうな気もする。
……………これは深読みし過ぎか…。
あまりにも出来過ぎな考え方だけど、つじつまは合わないでもないかな。
面白いことに、穴に入っていないのもやっていた。
それでは何故今まであまり知られていなかったのか?
これに関しては時期的なもの、それから時間帯があるのかな、と。
だって、この寒い時期に、しかも夜中に、コブハサミムシを探して地面を這いまわるバカがどれだけいるだろうか?
もう一つ可能性としてありそうなのは、この行動は礫間や土壌間隙で行われているのが普通かもしれないということ。
それならやはりフェロモンか何かを使って居場所を教えた方が手っ取り早いし、寒くて危険な地表に出る必要もない。
しかもそれが夜間に行われていたとすれば、観察した人がいない、あるいは少なかったとしてもおかしくはないんじゃなかろうか。
あ、じゃあココではなぜ地表でやってるかというと、クワガタ採集で有名な場所なんですね。
だから、地面は踏み固められてガッチガチ。
木の根の下でもなけりゃ穴掘れないんじゃないかな。
まぁ、ぐちゃぐちゃ、長々書いてみたけど、結局はまだ観察が足らないのよね。
気になった方がいたら、ちょいと夜中に歩きまわってみませんか?
コブハサミムシ Anechura harmandi
2011年3月6日 山梨県北杜市 EOS7D EF100mmF2.8MacroLISUSM ストロボ(MT-24EX,SP-580EX,ヒカル小町Di)
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2011.03.10 | Comments(2) | Trackback(0) | バッタ他直翅系
