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奄美遠征記その6:奄美の長い夜

amami6.jpg
奄美滞在三日目の夜。今日からは虫を見る時間を作れそうだ。
黒々と稜線を浮かび上がらせる原初の森。気持ちが高ぶる。
ただし、まだ大きな目標の黒いケモノを見ていないので今日もそのあたりから探索を始めよう。林道を流しながらところどころの木を見て回る。黒いケモノも、茶色い影も見当たらない。今日も出ているアマミハナサキをパスしながら行くも、往路では特に収穫なし。ちょっと先が思いやられる。


往路を経てそのままトラップ設置地点へ向かう。途中で既知の樹液を見るとスジブトヒラタクワガタの姿が見え隠れするが、なぜかこいつら異様に敏感で写真を撮れず。
続いて電柱連続地点。車を徐々に進めながら一本一本の電柱を舐めるように見ていく。が、なんもなし。今年はスカか?
隣ではくぼ氏が「この採集、首がいてーよ」とかのたまっている。確かに電柱や高い木を何本も見ていくために、この採集では首の後ろが痛くなるのだが…まだ2、30本しか見てませんよ?アナタ気合足りないんじゃなくて?

結局スカスカなままトラップを仕掛けた場所へ。でも今日はまず電柱を見て回るべきだな。
車を降り、道沿いの電柱を見ながら歩いていく。路上には相変わらずサソリモドキがウロウロし、他にも変なものが歩いているのにでくわす。

でかいナメクジ
でかいナメクジ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
奄美の森はナメクジが多い。どこを歩いてもナメクジ、木を見てもナメクジ、トラップを見てもナメクジ…という感じ。おまけに揃いも揃って10センチオーバーのものばかりだから苦手な人にはたまらないだろう。こういうものも楽しめればいいのだが、今はそこまで手が回らない。
アマミコカブト
コカブトムシ奄美亜種 EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
こちらはコカブトムシ奄美亜種。本土でも多産することがあるが、奄美では総じて多くよくその姿を見かける。

こちらでも電柱はスカか…。半ば諦めかけたころ、最後の砦の建物へとたどり着く。
昨年はこの建物で結構当たったし、うまくいけば今年も…?
ゆっくりと建物の裏へとまわりこむと…。
あっ!!
あっ!!

あああっ!!

いたっ!!
慌ててくぼ氏を呼び、確認した後、採集に入る。この時のために買ってきた長竿だ。さあ、頼むよ…。

そろそろそろ…(伸ばす)
かさかさかさ…(つつく)
ぱさ…(落ちる)
するするする…(戻す)


じゃ~~~ん
アマミミヤマクワガタ
アマミミヤマクワガタ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
採れました。
これぞクワガタ・オブ・奄美、アマミミヤマクワガタ様!!
世界広しといえども、このクワガタムシが生息するのはここ奄美大島のみっ!!
ちょい小さめだけどいいもんね。何ミリとか、何匹とか、そんなとこにはこだわらない。
一匹採れただけでもう満足。
さっきから高いトコばっか気にしていたのはコイツを見つけたいがためだったのです。なぜか知らないけれど、このクワガタは高いところに登りたがるのだ。

たった一匹のクワガタで気分がよくなった。途中の道でアマミヒラタの♀なんかを拾いながらトラップのところへ行く。

アマミノコギリクワガタ
アマミノコギリクワガタ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
うふふ…アマノコちゃんが来てますね~。小さいけどいいですよ~。
でかいものばっかりじゃ面白くないもんね。
他にも、地面に置いたトラップにはスジブトヒラタが来ていたのでこれもゲット。
ようやく虫っぽくなってきた。
もう一箇所、昨年後輩A氏がでっかいミヤマを採った建物があるのでそちらを見に行く。
でも、その途中に実は面白いものがいるのだ。
道に設けられた擬木の柵。ここに住み着いているのは…
サツマゴキブリ
サツマゴキブリ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
こちら。三葉虫を髣髴とさせる風貌の持ち主、サツマゴキブリ。私達は親しみをこめて"サッちゃん"と呼んでいる。このゴキブリらしからぬ姿がわたくしのツボに"ビビッ"と来るんですね~。
意外なことに同じ柵の中でも彼らが住み着いているのはほんの一部だけだ。どうやら風通しのよいところがお好みのようです。
サッちゃんのおうち
サツマゴキブリ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ2灯
サッちゃん帰宅の図。昼間しか来ない人はここにこれだけのサッちゃんが住み着いていることには気づかないだろう。
真っ白サッちゃん
サツマゴキブリ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ2灯
運良く脱皮直後のサッちゃんにも出会うことができた。脱皮直後のゴキブリは今年狙っていた被写体なのだが、残念ながら会うことはできないでいた。ゴキブリといえども脱皮直後は真っ白で美しいのだ。

このあとミヤマは打ち止めになり、再びクロケモノを見るため、某林道へ。来た道を取って返すがやはりクロケモノは出てこなかった。おかしいな…。

アカマタ・ロードキル
アカマタ・ロードキル EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
林道を抜け、一休みをしたところにあったアカマタのロードキル。まだ若い、赤の美しい個体だ。道路が観察ポイントであることに間違いはないが、逆に言えば見られる分の動物達が交通事故の危険性に晒されているはずだ。特に蛇のような轢かれやすい生き物にとっては大変に危険なエリアであるということに間違いはないだろう。自分達が観察しやすくなるのはありがたいが、その分の危険を動物達に押し付けているという自覚は必要なように思う。

一服し、更に2度目の往路へ突入。今夜はクロケモノを見るまで粘るつもりだ。
オオシマゴマダラカミキリ
オオシマゴマダラカミキリ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
初日にヒラタが来ていた木をチェック。オオシマゴマダラがくっついていた。脚が滑って歩きにくそうだ。
スカった2度目の往路を終え、再びトラップポイントへ向かう。
と、道の影に一瞬黒い影が見え、すぐに姿を消した。
s「…クロウサ…?」
く「う…ん…多分そうだと思うけど…。マングースじゃなかったし…」
はっきり姿を見たわけではない。半信半疑でトラップを見回り、また2度目の復路へ。

今度は大物が姿を現す。ヒメハブだ。
ヒメハブ
ヒメハブ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
印象は本土のマムシに近いが、より太く、力強い。黄褐色の地に黒の模様が鮮やかでとても美しく、均整のとれた体型には見惚れてしまう。
ヒメハブ顔アップ
ヒメハブ EOS20D EF180mmMacroUSM ストロボ
ヒメハブのアップ。クサリヘビ特有の鋭い眼つき。そのすぐ前にはピット器官が見て取れる。

ヒメハブ幼蛇
ヒメハブ幼蛇 EOS20D EF180mmMacroUSM ストロボ
成体のすぐ後には幼体も姿を見せた。顔つきがあどけなく、黒い部分が広い。

「ヒメハブまで見れちゃったよ~」
「これだけでも結構な収穫だよな~」
2度目の復路を終えて、また一休み。流石に疲れてきたが、まだ諦めるわけにはいかない。

気合の3度目!
往路に入ってすぐ、車の前を横切る物体。

見た。

はっきりと見た。

赤い眼、黒い毛並み、そして短い耳!!

おおおおぅっっっっっしゃ~~~!!

二人で短い拍手、そしてガッツポーズ。
ちゃんと見れたぜ!!クロウサっ!!
あまりにも一瞬のことだったので写真は撮れなかったが、大目標、ここに達成せり!
くぼ氏をそそのかして奄美まで連れてきた甲斐があったってもんだ。

ひひゅうぅぅ…。
なんとか目標が果たせたのでこの後はゆっくりとトラップを見回り、終了…といきたかったが、ここでまたナイスな被写体を発見してしまう。
おいおい…もう2時過ぎてるべや…。

そしてこちらがナイス被写体。
その名もオオゲジ。
ちゃんとクリックして、モニターに穴があくほど見つめてね♪
オオゲジ
オオゲジ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ2灯
オオゲジの名の通り、本土のゲジ(オオゲジじゃなくて)とは比べ物にならない大きさ。尾脚まで含めれば25cmは超えるだろう。体自体はさほど大きくないが、その長い脚ゆえに凄まじいほどのボリューム感を感じさせる。
オオゲジアップ
オオゲジ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ2灯
オオゲジは今回の奄美の目的の一つでもあった。昨年はなぜか出来が悪く、今年はそれ以上の写真を撮ることができた。
テラテラと光る体表、規則正しい配列を見せる長い脚、危険なものが持ちあわせる独特の美しさに満ち溢れている。何度見ても凄みを感じるイキモノだ。

オオゲジを堪能すると、途端に眠気が襲ってきた。
だが、今日はツイている?
もうヤケクソだ。残る標的の一つ、ハブを求めて別の場所へと移動を掛ける。
アマミヤマシギ
アマミヤマシギ EOS20D EF180mmMacroUSM ストロボ
ハブは見られなかったが、ようやくヤマシギをアップで撮れた。クリッとした目が可愛らしい。

コンビニに寄って最後の一休み。
ヒメカマキリ
ヒメカマキリ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
自販機にはヒメカマキリが来ていた。本土にも分布するが、南方系の種類なので数えるほどしか見たことがない。
アマミアオドウガネ
アマミアオドウガネ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
もひとつおまけに。
街灯に来ている虫の最優先種、アマミアオドウガネ。どこでもたくさん落ちている。

今夜の探索はこれまで。あとは宿に帰って休むことにする。珍しく濃い霧の中を半分意識を失いながらぶっ飛ばした(あぶねーな)。
午前5時過ぎ。
奄美の長い夜がようやく終わった。

まだ次回へと続きます。

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2006.08.30 | Comments(0) | Trackback(0) | 遠征記

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