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奄美遠征記その7:奇蛙の森

amami7.jpg
奄美遠征4日目。前日の夜が遅かったため、この日の起床も9時過ぎだった。
この日は後輩A達が奄美入りするため、空港で落ち合うことになっている。空港が島の北部のため、道中で寄り道をしながら向かう手はずだ。
前年に一度動いたあたりなので記憶を辿りながら道を進んでいく。ここのところ南部が活動の中心となっていたため、耕作地が多い北部の景観が少し新鮮だ。


時間がないため、本当に景色を見ながら動くだけ。午後に活動するポイントを見定めながら行くと、林道の脇から赤っぽい影が飛んでいった。あの感じだとアカヒゲだろう。引き続き上空をルリカケスが横切る。
初日にいただいた情報を頼りに目的地に着くと後輩Aからメールが入っていた。どうやらあちらさんも到着のようだ。場所だけ覚えて空港…じゃなかった、鶏飯屋へ。
鶏飯屋で後輩Aたちと無事合流し、こちらの状況などを話しながら飯を食らう。やっぱり何度食っても旨い。
ついでに今回会えていないアマミシカ&アマミコクワのお願いをしておく。餅は餅屋に、クワガタはクワガタ屋に頼むのがやっぱりベターだろう。

食事をしてから後輩A達と別れ、午前中のポイントへ。
車を止めたすぐ脇にはサッちゃんの影が見え、ヘリグロヒメトカゲが走る。
ヘリグロヒメトカゲ
ヘリグロヒメトカゲ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
これがヘリグロヒメトカゲ。すぐに落ち葉の下に潜ってしまうので、その胴長短足具合がわかりにくくなってしまった。スベトカゲに近い感じがするな~と思っていたら、やっぱり似たような部類のようだ。
いいんだよね?>>くぼ氏
アマミクマバチ
アマミクマバチ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
道の脇にあった花にはアマミクマバチの姿が。確か奄美固有種のはずだ。本土のクマバチより色が薄いのでなんだか軽い感じがする。気のせいかな?

続いて森の中へ。リュウキュウアオヘビ(いつもすぐ逃げる厄介な輩)や無数のアマミハンミョウに会いながら奥へ。
ザトウムシの一種
ザトウムシの一種 EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
森の中にはザトウムシが多く、放っておくとザックの中にまで入ってくる。
アップにすると意外とキレイな種類だ。背中の銀球がおっしゃれ~♪

一匹のチョウが目の前を横切っていく。
リュウキュウアサギ!!
なぜだか奄美では縁のないリュウキュウアサギマダラ、昨年は一度見かけただけだ。これはなんとしても撮らねば、と追いかける。

ふわ…ふわふわ~…

へ?

気がついたら周り中がリュウキュウアサギだらけだった。リュウキュウアサギに混じってツマムラサキマダラのようなチョウも見える。
リュウキュウアサギマダラ
リュウキュウアサギマダラ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
へぇ…リュウキュウアサギってこういうとこにいるのね。そういえばアサギマダラも暑いと林内に入ってくるし、開けたところばかりさがしていても出会えなかったのはこういう道理だったのね。
しかしリュウキュウアサギくんたち、ふわふわ飛んではすぐに止まるくせに、静止しているものは意外と敏感で近づかせてくれない。
きーっ!!
ストレス溜まります。
リュウキュウアサギマダラ・求愛
リュウキュウアサギマダラ・求愛 EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
こちらは求愛中。上が♂で下が♀。でも今回はヘアーペンシル(マダラチョウ科の♂が持つ器官。求愛中に腹端から出る毛ばたきみたいなモノ)は写らなかった。お互い牽制中なのだろうか。
敏感なリュウキュウアサギ達もこのときばかりは近づかせてくれるみたいです。
リュウキュウアサギマダラ・飛翔
リュウキュウアサギマダラ・飛翔 EOS20D Sigma15mmfisheye ストロボ
林内を飛翔するリュウキュウアサギ。頼むから翅開いてくれ。

リュウキュウアサギを撮影していると刈り払い機を持った男性が話しかけてきた。どうもカメラに興味があるらしく、くぼ氏の付けていたディフューザーに興味を持ったようだ。
男性「何撮ってるの?」
くぼ「花とかです。」

ウソこくな。

アマミウラナミシジミ
アマミウラナミシジミ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
森の中の陽だまりではアマミウラナミシジミがテリトリーを張っている。ゼフィルスと同じ動きだ…。

ボチボチ風景なんかも押さえつつ、道まで戻る。
くぼ氏が用を足している間、近くの路上で一服をしていると、先ほどの男性が話しかけてきた。

男性「いいものは撮れましたか?」
s「ええ、ボチボチです。」
男性「このへんはね~そこの藪でアカヒゲが繁殖してるんだ。チョウなら時々アカボシゴマダラが来るよ。」
s「あー、アカボシはまだ見てないんですよ~。」
男性「あと、写真になるか分からないけど、イシカワガエルならいるところ知ってるよ。」

Σ(゚Д゚)!!

な…なんですとー!?

s「ほ…ほんとですかッ!?」
男性「教えてあげるから、知りたいのなら後で来なよ。」
そういい残して颯爽と去る男性。

な…なんてことだ…。
ノンキに用を足してきたくぼ氏に事情を説明する。

くぼ「あ~すっきりした~」
s「それどころじゃねぇよ!!かくかくしかじかで…あーだのこーだの…………」
くぼ「マヂで!?聞かなきゃ損じゃんか!!」

イシカワガエルは夜行性だ。きっと夜に出てくるのだろう。場所だけ教えてもらってから夜になってまた来れば見られるかも知れない…。

そんな話をしながら一度車へ戻り、荷物を置いて先の男性のもとへ行く。
いろいろと事情があって、場所の特定さえ避ければ教えてくれるということになった(というわけで、ご質問があっても一切答えられません)。また、居付いているとはいえ見られないときもあるよ、とのこと。
そんなことならお安い御用だ。十八番の安請合いをして、早速案内してもらった。
男性「カメラ持って行かなくていいの?」
s「いえ、場所だけでも教えていただければ…。」
半信半疑で男性の後についていくと、彼は数分も歩かないうちに一本の木を指差した。
男性「ほら、あそこ。」
s&くぼ「ハァ?」
あっけにとられながら男性の指し示す先に視線を移す。

((((;゚Д゚))))

イシカワガエル
イシカワガエル EOS20D EF180mmMacroUSM
い…

いたぁぁぁぁぁq座wsぇd©rftvgybふんじおklp!!

目線より少し高い木の洞、そのすぐ脇。
そこに、日本産のカエルで最も美しいとされる、あのイシカワガエルが鎮座ましましていた。
くぼ「えええ…昼間っから出てるんですか…?」
男性「だからカメラいいのかって聞いたでしょ?」

いや、こんなん想定外です。

しかし物凄いカエルだ。見事な保護色でその姿にはまったく気づかなかったが、一度分かれば今度はその存在感に圧倒される。
その色形から想像するより遥かに大きなその体。
澄み切った瞳。
実に魅力的なカエルだ。

慌てて車に戻り、撮影機材を手にしてから現場に舞い戻る。
その後は一時間以上ひたすら撮影をしていた。
途中から野鳥を撮影していた方(案内してくれた男性の知り合い)もまじえ、イシカワガエルの撮影会。贅沢な時間だった。

イシカワガエル・正面
イシカワガエル EOS20D EF180mmMacroUSM
こちらは正面。位置の関係上これ以上は近づけなかった。

たっぷりとイシカワガエルの撮影をしてから男性に挨拶し、出発。
今度は南部へ戻って夜間探索である。
道中はイシカワガエルの話で盛り上がった。
途中、くぼ氏に頼まれた道路標識を撮影。
アマミノクロウサギ
飛び出し注意 EOS20D Sigma17-70mmZoom ストロボ
なんとも奄美らしい道路標識だ。

標識を撮影中、くぼ氏が側溝の中にヘビがいるのを発見。表に出して撮影するという。
私も見てみると赤い模様の入った蛇が見えた。
アカマタの幼蛇かな?
一人では大変そうなのでくぼ氏が撮影する間、私が蛇を押さえておくことにした。小さな蛇だったので素手で掴もうとすると、くぼ氏が「グローブ使った方がいいよ」という。一応念のためグローブをしてから掴むとグローブに噛み付くヘビ。かわいいね~、なんて言いながら撮影をし、ヘビを放した。
ガラスヒバァ
くぼ氏撮影
こちらがそのヘビ。綺麗です。

…ところが、後にとんでもないことが発覚した。
アカマタだと思っていたこのヘビが、どうやらガラスヒバァという別種のヘビだったらしいのだ。ガラスヒバァは有毒。しかもヤマカガシと近縁のヘビらしい。つまり、毒が強烈で、血清が手に入らない可能性が高かったのだ。あの時、くぼ氏がグローブを差し出していなかったら私は今頃この世の人ではなくなっていたかもしれない。慣れもあって甘く見すぎていたことを痛感させられた。

昼の部はここで終了。この後は夜の部へ続きます。

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2006.09.05 | Comments(6) | Trackback(0) | 遠征記

コメント

久しぶりに訪れたら、読みがいのありすぎるネタにびっくり。
一気に読んでしまいました。

なんだか、いろんなものを見つけては盛り上がっている2人が想像できて嬉しかった。

いや-。
やっぱり、2人は良いコンビですな。

色々なものを見つけたとしても、見る目の持ち合わせていない自分が少し寂しくなっちゃうね。

今年はせっかく八丈島と神津島に行くのに…。

2006-09-06 水 00:54:11 | URL | kiccyomu #- [ 編集]

いやいや、そちらのバイタリティの方がよっぽど凄いと思うけど…。
こんな性能の悪い目でいいのならいつでもお貸ししますよん。

2006-09-06 水 20:41:32 | URL | spatica #- [ 編集]

リンクしたよ~

HPリニューアルしたのでついでと言っては何ですがリンクさせていただきました^^;

2006-09-08 金 22:19:10 | URL | DARK LORD #- [ 編集]

>>master
リンクありがとうございます。こちらもなんとかしたいのですがどーもうまくタイミングがつかめません。
リニューアルしたHP、さっそく見させていただきました。前より随分とデザインが洗練されている気がします。伏線もけっこうありそうですね。

2006-09-08 金 22:52:30 | URL | spatica #- [ 編集]

ヘリグロヒメトカゲは・・・

なにせ見るのも初めてだったから、まだ詳しくわからないけど、図鑑の掲載順をみるとスベトカゲに近いのかなと思います。でも同じ属は日本にはいないみたいだね、平凡社によると。
しかしガラスヒバァはほんと危なかったよなf^_^; オレも自然を甘く見過ぎていたことを反省しました。今度行くときは写真の撮りやすい田んぼとかで会いたいね。

2006-09-11 月 18:17:49 | URL | くぼ #- [ 編集]

>>くぼ
いや、ガラスヒバァにゃやられたね。まさか毒があるとは思ってなかったモンで。というより、そーゆーことは先に教えてくださいな。
ヘリグロヒメ、近縁であることがわかればそれでいいです。別に同じ属なんてとこまで近くなくてもいいわけで。

2006-09-12 火 20:52:44 | URL | spatica #- [ 編集]

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