奄美遠征記その8:神の住む島
遠征4日目の夜。
泣いても笑っても今夜が最後の夜になる。もっとも今回の目的のブツはあらかた見てしまったので大分気が楽だ。古仁屋で夕焼けを撮影し、食事をとってからトラップ→林道と回ってゆく。
ヒメアマガエル EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
林道のカエルたちにも慣れた。アマミハナサキはすぐわかるのでパスしていくと一際小さなカエルが見つかった。ヒメアマガエル。アマガエルと付くのだがアマガエル科ではなく日本で唯一のジムグリガエル科に属するカエル、そして日本最小のカエルでもある。コロコロとした体型が可愛いカエルでかなりの跳躍力を持っている。
ヒメアマガエル幼生 EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ
林道の脇にある集水枡には水が溜まっていて、両生類のちょっとしたホットスポットになっていた。こちらはたくさんいたヒメアマガエルの幼生。これ以外にもシリケンイモリやオットンガエルなどがいた。イボイモリの幼生らしきものも見つかったが写真は撮っていない。うー、下調べはもっと入念にしておくべきだったかなぁ…。
この日の夜はやたらとクロウサギに出会った。その回数、日付が変わるまでに計5回。中には道端で食事中の個体もいた。
アマミノクロウサギ EOS20D EF180mmMacroUSM ストロボ
ピンボケだが一応クロウサらしきものが写っていた。運転しながら撮影するのは結構大変…。
アマミヤマシギ・後姿 EOS20D EF180mmMacroUSM ストロボ
相変わらず多いヤマシギ。何度か挑戦するが、毎回のらりくらりとかわされてしまう。
撮影:くぼ氏
夜の林道でヤマシギを追う。ひたすらアヤシイ。
ここまで来てしまうとあとは皆常連になってしまい、なかなか新しいものには出会えなくなってきた。折角奄美まで来ているんだから惰性になってしまうのはもったいないが、連日の疲れもあり行動はダブつく。
林道を折り返し、トラップへと向かっていた時の事。左の道路わきにちらりとヘビの影が見えた。
s「あれ何(て種類のヘビ)?」
くぼ「さあ…?」
あんた両爬担当でしょ。
車を降りて種類の確認をしてみることに…
どん。
近づいたところでこんな模様が目に飛び込んできた。
とぐろを巻いていたので頭は見えなかったがこれは…!!
ハブ様 EOS20D EF180mmMacroUSM ストロボ トリミング
「おおおっ!!ご本尊様ッ!!」
沖縄に2回、そして昨年の奄美でも出会えなかった森の守護神、ハブ。
三度目の正直ならぬ、四度目の正直でやっと会うことができた。
マムシやヒメハブとは全く異質な存在感。スマートで美しい体型、そしてその模様。やっぱりホンモノは違う…。
ハブ様 EOS20D EF180mmMacroUSM ストロボ
体長は1.3mほどだろうか。私達のストロボ攻勢をものともせず、ハブは悠然と車の前を横切っていく。時折頭をもたげ、周囲を見渡すようにするのは私達への威嚇なのか、あるいはその進路を見定めるためなのか…。
道を横断したハブはゆっくりと道路脇の草地へと入り込んでいった。張り詰めていた緊張の糸が途切れ、息を付く。
まだしつこく追いすがるシト。
リュウキュウコノハズク EOS20D EF180mmMacroUSM ストロボ
ハブにも会えて、最後の心残りがなくなった。
闇から響くリュウキュウコノハズクの声。二種類の鳴き声が聞こえてきたのは丁度巣立ちの季節であったためらしい。
アマミサソリモドキ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ2灯
最後のシメはやっぱりコイツ。アマミサソリモドキだ。
闇夜に伸びる二本の触肢が、妖かしの国の住人であることを如実に物語る。
ハブを闇の王だとするのであれば、彼らはさしずめその従者といったところだろうか。
アマミサソリモドキ EOS20D EF100mmMacroUSM ストロボ2灯
この個体は樹上で食事中だった。
えーと…キミが食べているものは一体何?
気門が見えるあたり昆虫の類のようだが…?
非日常的な時間と空間、その余韻に浸りつつ最後の夜は更けていった。
今回は短めだけどここまで。次回で終了っす。
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2006.09.08 | Comments(0) | Trackback(0) | 遠征記
